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山月記

中島敦の「山月記」も、国語の教科書の定番だ。

「隴西(ろうせい)の李徴は博学才頴(さいえい)、天宝の末年、若くして名を虎榜(こぼう)に名を連ね、次いで江南尉に補せられたが、性、狷介(けんかい)、自ら恃(たの)むところ頗(すこぶ)る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった・・・」
山月記_e0405122_22480535.jpg
有名な冒頭部である。
格調高い文体、端正にして簡潔な表現。授業で初めて読んだとき、こんなに美しくて素晴らしい日本語があるのかと驚愕した。
頭の先から尻尾の先まで(尻尾はないか)、しびれたように感じた。

以来何十回となく読み返しているのだが、その思いは変わらない。今どきの、読んでいて何の歯ごたえもない薄っぺらい文章とは、比べようのないほどずしりとした読み応えがある。

こんな文章こそ、若い人たちが読むべき文章なのではないか?
近く教科書に採用されるであろう文章……役所の通知とか駐車場の賃貸契約書など、単なる情報に過ぎないつまらぬものである。
こんなものを授業で習わされるこれからの高校生たちが、気の毒だ。

Commented by magurau at 2019-10-27 09:26
愚民化政策極まれり、ですね。
子供たちが可哀想。

どんどん変なほうに行ってる日本。
正しい怒りを表明しないと。

nicomachus さんに敬意を表しますm(__)m
Commented by nicomachus at 2019-10-27 10:39
magurauさま、コメントありがとうございます。
共感してくださる方がいて、うれしいです。

現政権が、日本を変な方向にもっていこうとしているのは
明らかなのですが、それが大きな議論にならないのが
不思議です。

来年あたりオリンピック騒ぎの中で、とんでもないことが決まりそうな、悪い予感がします。
by nicomachus | 2019-10-26 23:57 | 文学 | Comments(2)

昏るるに未だ遠し


by nicomachus