ニコマコス倫理学(2)
2022年 05月 27日
アリストテレスによると、人が行うあらゆる技術・営為は「善」を目的になされるという。
彼によると、善は3つの意味がある。
道徳的善・・・道徳的によいこと
有用的善・・・役に立つこと
快楽的善・・・楽しくて快いこと
このうちで、道徳的善が最も好ましいものではあるが、他の善と必ずしも相容れないものではない。
そして「善」は「目的」ではあるのだが、目的というものは連鎖的であるという。
これを勉強している高校生を例にとると
勉強する目的は「大学に入ること」
大学に入る目的は「専門的な知識・技術を得ること」
知識・技術を得る目的は「よい社会人になること」
よい社会人になる目的は「幸福になること」
ここで挙げられた「よい社会人になること」までは前の段階の目的であり、かつ次の段階の手段であるのに対して、「幸福になること」はこれ以上の目的がない最高の善であり、人生の究極の目的は「幸福になること」だという。
アリストテレスがこの本で言いたいことは、こういうことのようである(まとめたらエラく単純だが)。
あと、アリストテレスは、人が幸福を実現するのに「徳」が欠かせないという。
ここでいう徳は、人格的に優れているという意味だけでなく、人間としての力量・卓越性を指している。
常に「善」を目指し「徳」を身につけることで、人は幸福が得られる・・・当分私は幸福になれそうにないな。
by nicomachus
| 2022-05-27 08:00
| 学問
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